Pierre-Yves Macé “Passagenweg”
(Brocoli, Brocoli004, 2009, CD)
1.angelus novus 2.la comédie des cachemires 3.der geistiger automat
4.première parataxe 5.il principe e il ranocchio, 1 6.la pratique quotidienne de l’utopie
7.il principe e il ranocchio, 2 8.seconde parataxe 9.crystal palace, 1
10. nocturnorama 11.le sex-appeal de l’anorganique 12.dialektisches bild
13. ultime parataxe 14.valse 15.crystal palace, 2 16.necessary angel

音楽院でサウンドドキュメントの研究をしている作家 Pierre-Yves Macéの2009年作は、ヴォルター・ベンヤミン『パサージュ論』にインスパイアされた作品となります。題名もそのまま”Passagenweg(パサージュの道?)”ですね。形式としてはMusique concrèteで、パリの喧噪、古いシャンソンやオーケストラ、デジタルクラック、ノイズを切り貼りして散りばめた作品です。グラモフォンから流れるような割れた甘いオーケストラ、シャンソンを背景に、デジタルグリッチ、ドローン、アンビエントを乗せ、メランコリックな世界観を作っています。Pierre-Yves Macé自身がまさにベンヤミンのいう「遊歩者」になり、鉄とガラスで出来たパサージュの形象を見つめて得られた音を選択しているような印象を受けます。

“形象が歴史的な指標を帯びているということは、ただ単に形象がある特定の時代に固有のものであるということのみならず、形象というものは何よりもある特定の時代においてはじめて解読可能なものとなるということを意味している。しかも、「解読可能」となるということは、形象の内部で進展する運動が、特定の危機的な時点に至ったということなのである。”

おそらく音楽院での研究からの着想によって出来たアルバムで、新旧の音が交互に並べられることから、デジタルクラックやノイズといった現代的な音とメランコリックなグラモフォンの音との対比を通じてパサージュの形象を描きたかったのではないかと想像します。その意図が成功しているかどうかはともかくとして、シャンソンやオーケストラを中心としたメランコリックな音作りとは非常に魅力があります。同じくパサージュ論の影響下にあると思われるゼーバルトの本を読みながら聞くのに丁度いいと感じます。

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